借地権を遺贈。相続との違いは?

借地人が亡くなっても、その土地は当然に地主の元へ還る訳ではありません。借地権という権利がある以上、他の人間へと権利が継承されることになるのです。権利の継承には相続と遺贈の2パターンが考えられます。ここではその意味の違いや、借地権の継承に際して生じる違い、手続きの注意点について解説しています。

参考にしてみてください。

相続と遺贈の違い

まずは相続と遺贈の違いについて知っておきましょう。人が亡くなると、その人が持っていた権利や義務が別の人に移動することになります。これが「相続」です。日本は私有財産が認められている国なので、持ち主が亡くなったからといって国がその財産を引き受けることはできません。

そこで相続を行い、所有者がいなくなった財産の新たな持ち主を決定するのです。借金に関しても同様の考え方ができます。借金をした本人が亡くなったからといって借金の事実まで消えてしまっては、債権者にとって非常に不都合になってしまうので、新たに返済請求する相手を相続によって決める必要があるのです。

誰が遺産を相続するかは、民法の規定によって決まります。民法で定められた相続人を「法定相続人」と呼びます。これとは別に、財産の持ち主が生前に遺言書を作成しておくことで、法定相続人以外の人に財産を譲ることも可能です。

これを「遺贈」と言います。相続と遺贈の違いは、誰が財産を受け取るのかという点だけではありません。税金にも大きな違いがあります。遺贈は相続よりも多くの税金を支払わなければならず、また相続にある基礎控除がありません。

また、受け取った遺産が不動産だった場合は、それとは別に不動産取得税が課せられる場合があります。

借地権の相続

借地権のある土地の上に家を建てて住んでいる場合。借地人がなくなると、借地権はどのような扱いになるのでしょうか。相続によって法定相続人が財産を受け取る場合、借地権契約は内容そのままに継承されることになります。

借地権を別の誰かに渡すことを借地権譲渡と言い、この場合地主に対する承諾料や更新料を支払わなければなりません。しかし借地権の権利者が変わっても、それが相続によるものであれば借地権譲渡には当て嵌まりません。

そのため、承諾料や更新料を支払う必要はないのです。もちろん、借地権の名義を変更する必要はあります。相続によって借地権を受け取った新たな借地人と地主の間で改めて借地契約を結ぶ形になりますが、名義書き換え料などは不要です。

借地人にとって有利に見えますが、契約内容が変わらないという点に注意が必要です。元々更新料などを支払う契約になっている場合は、その支払いを引き継ぐことになります。

借地権の遺贈を受ける際の注意点

借地権が遺贈によって移動する場合は、相続による場合に比べ様々な違いがあります。大きな違いは、地主の承諾が必要だという点です。まず内容証明郵便などを用いて、地主に借地権の遺贈があることを通知し、承諾請求を行います。

地主が承諾してくれればスムーズに進むのですが、承諾してくれない場合は裁判所に申立てを行い、代わりに承諾してもらわなければなりません。仮に申立てが却下された場合は「遺贈できなかった」ことになって手続きは終了してしまいます。

裁判になるともちろん時間がかかります。承諾料の額や契約内容の変更などによって承諾を出す地主もいるので、条件を摺り合せていくようにしましょう。相続の場合とは異なり、承諾料などの支払いも発生するので注意しておきましょう。

承諾料の額は地主側から通知されるか、話し合いによって決まることになります。借地権価格の1割程度が相場となっています。

借地の上の建物

借地の上に建物が建っており、その建物も遺贈によって譲り受ける場合、名義変更をしなければなりません。不動産には名前を書くことができません。従って遺贈を受けたことを第三者に主張するためには、所有権移転登記を行って名義を亡くなった人から遺贈を受けた人に書き換える必要があるのです。

この所有権移転登記に関しても、遺贈の場合は注意が必要になります。相続の場合、相続人が単独で申請することが可能なのですが、遺贈の場合は不動産を受け取った人が単独で申請することができません。相続人全員か、もしくは遺言執行者と共同で申請する必要があるのです。

遺言執行者とは、遺言書の内容を実現するために必要な手続きを行う人のことを言います。スムーズな手続きのためにも、指名しておくことが望ましいと言えるでしょう。建物の所有権と借地権はそれぞれ別々の権利です。所有権移転登記によって建物を取得したとしても、借地権がなければ建物を使うことができません。

地主の承諾を得て借地権を受け継ぐ手続きを踏むことになります。

建物に人が住んでいる場合

借地の上にアパートを建てて経営していた場合など、借家人がいる場合はどうなるのでしょうか。こうしたケースでは、自分が遺贈を受けて借地権と建物の所有権を得たことを、借家人に対して通知しなければ家賃の請求などができません。

借家人は法定相続人に対して家賃を支払えば、それで義務を達成したことになるからです。家賃収入を得るためには賃料を自分に支払うよう通知を行う必要があるのです。

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遺言書の書き方に注意

法定相続人がいる場合でも、遺言書を作成するケースが増えています。遺産は現金だけ、という場合なら頭数で割って平等に分けることができますが、不動産などの場合はその分け方を巡って相続人同士が争い、トラブルになってしまうことが多いからです。

遺言書を残すことで、財産の持ち主の意思を示しトラブルを回避することができるのです。相続トラブルを回避するために遺言書を作成するというのは非常に有効な手段ですが、注意しなければならないことがあります。それは「遺贈」という言葉の使い方です。

法定相続人に対して「遺贈する」という言葉を使ってしまうと、相続ではなく遺贈であるとみなされることになってしまうのです。借地権の場合は地主の承諾が必要になる上、承諾料なども発生します。また税金の支払いも多くなってしまいます。

トラブルを回避しようとして遺族に余計な手続きや費用を負わせてしまっては本末転倒です。言葉の使い方にはくれぐれも注意しなければなりません。遺言書の内容に関して不安なことがあれば、遺言書作成に詳しい弁護士に相談したり、公正証書遺言書の利用を検討するのがおすすめです。

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